僕の唄君の声


その後はせっかくの誘いを断ったことに罪悪感を感じあまり喋らないようにと心掛けたが榊下はあまり気にしていないようでどんどん話題を変えていった。

僅かながらほんわかとした気持ちがじわじわと身体に馴染んでいった。


「朝、悪かったな」


榊下の次々と出る話題に適当に相槌を打ったりしていると、今までとは違った声音で突拍子にそんなことを言われた。


「低血圧なんでしょ?仕方ないよ」

「そっちじゃねェ」

「何…あぁ、手首?」

「…あぁ。」

「大丈夫。跡残ってないし」

「…そっか」

「うん、ありがと」


心配してくれたことに御礼を言えばありがとうとか言えんだなとか言われた。失礼な奴だな御礼くらい言えるし。


「てゆかアンタも無理に喋るのやめたら」

「…は?」

「あれ、気付いてないのかい」

「……。」

「気付いてるんだ。」

「―…なんで分かった。」


なんだなんだ。アンタが私に失礼なこと言ったから指摘しただけなのにさ。なんでコイツはこんなにびっくりしてるのよ。



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