僕の唄君の声

(華己視線)


キーンコーン―…

「はい、じゃあ今日はここまでー」


5時限目の授業が終わり先生が教室を出ればまた騒がしくなる教室。まだ戻ってきていない前の席の親友の机を眺める。

小さい頃からいつも一緒だった。
喧嘩もしたし離れたこともあった。
でも行き着いた場所はやっぱり壱葉のところだった。私が素直でいられる場所。


「あ、あの…。千種さん?」

「ん、何?」

「ノート提出、なんだけど…」

「あー、はいはい。お願いしまーす」

「ありがと…」


そういうなり走っていく5時限目の教科担当の渡辺さん。記憶力のいい私はクラスメイトの名前は一応全員覚えてる。


「(そんなに焦って逃げなくても平気だっつーの!)」


まあこんなこと思いつつも頭の奥ではその理由も分からなくもないんだけど。


色素が薄い茶色の髪にピアスが3つ。
あまりいいとは言えない目つき。
そしてこの無愛想な言葉遣い。
頭はそんなに悪い方ではないがそれだけでは補えない程のこの容姿。



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