僕の唄君の声
「なーんか…なあ〜」
なーんかパッとしない。書きたいものがないからかな。
「まいっか」
誰かに見せるわけでもないし、これはこれで。
時計を見て、そろそろ友達が来る頃だと気付き、荷物をバックの中へ詰め込む。
ガラッ
「壱葉っ!」
「あ、華己(かこ)」
「ごめんね、待たせて。帰ろ!」
「あいよー」
――――…‥
「それでね、『いつも見に来てるよね』って話し掛けられたの!」
「ぉおー!展開早いね」
「超びっくりだった!」
帰り道。友達、華己がその好きな人のことについて報告するのが日課。別に私が「しろ」と言ったわけじゃなくて、華己が勝手に言ってる。(おい)
「壱葉も詩が恋人ってゆーの、そろそろ卒業したらあ?」
「別に恋人ってわけじゃないよ。男に興味ないだけ〜」
「あー、はいはい。」
「え、何それひどい!」
「はははっ」
そんないつもと変わらない会話をしながら家に着く。
「笑った笑った!じゃ、ばいばい。気をつけてね」
「すぐそこだよ?大丈夫だって!ばいばーい」
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