僕の唄君の声
(華己視線)
キーンコーン―…
6時限目の始まりだ。このチャイムの音でさえ今は私が進む道の邪魔をしているように思える。それを振り落とす様に足を前に前に進めた。
すると突然ガクンと後ろに腕を引かれた。
「華己ちゃん!」
「…っ離して!」
振り向けば奏輔くんが眉をハの字にして私を見つめていた。きっと違う場面だったなら私は発狂するくらい喜んでいたかもしれない。でも今はそんなことをしている場合じゃない。
ごめんなさいと思いながらもその触れていたかった手を振りほどき、また走り出す。
あともう少しで東階段だ。そのあと少しの距離がもどかしく自分の足を呪いたかった。
後ろから2人分の足音を聞きながら走り続け東階段までの道を急ぐ。
「壱葉!」
「…華己?」
「…いち、は」
東階段に着き壱葉の姿を確認して名前を呼び振り返った壱葉の顔を見て言葉を失った。
昔の壱葉―…。
『―…たす、けて』
笑えない壱葉―…。
「ど、しよ華己…。記憶、が。ハハ…」
記憶を消した壱葉―…。
『大丈夫。男に近付かなきゃいい。』
_
キーンコーン―…
6時限目の始まりだ。このチャイムの音でさえ今は私が進む道の邪魔をしているように思える。それを振り落とす様に足を前に前に進めた。
すると突然ガクンと後ろに腕を引かれた。
「華己ちゃん!」
「…っ離して!」
振り向けば奏輔くんが眉をハの字にして私を見つめていた。きっと違う場面だったなら私は発狂するくらい喜んでいたかもしれない。でも今はそんなことをしている場合じゃない。
ごめんなさいと思いながらもその触れていたかった手を振りほどき、また走り出す。
あともう少しで東階段だ。そのあと少しの距離がもどかしく自分の足を呪いたかった。
後ろから2人分の足音を聞きながら走り続け東階段までの道を急ぐ。
「壱葉!」
「…華己?」
「…いち、は」
東階段に着き壱葉の姿を確認して名前を呼び振り返った壱葉の顔を見て言葉を失った。
昔の壱葉―…。
『―…たす、けて』
笑えない壱葉―…。
「ど、しよ華己…。記憶、が。ハハ…」
記憶を消した壱葉―…。
『大丈夫。男に近付かなきゃいい。』
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