僕の唄君の声

(玲視線)


東階段で昼を食べた後のアイツの様子が変なのは分かっていた。でも、その原因に踏み込むのが柄にもなく怖かった。

アイツは本気で、
何かを恐れている目をしていた―…


「…異常な程の恐怖、か」


ポツリと呟き、俺の肩に顔を乗せるコイツに目をやる。そして頭を撫でながら保健室への道を急いだ。


気になるきになるキニナル―…



「ご、め…なさ…」



さっきから呪文のように謝り続ける意味を。




ガラッ


「失礼しまー…、いねェし。」


1番日当たりのいいベッドに向かい、そっと抱き上げていた体を下ろす。当の本人はさっきから安心するのか何なのかは分からないが俺の指先を掴んだままだった。


「…大丈夫か?」


一応、問い掛けるが返事は無く、ただギュ、と指先を握るだけだった。


え、何でコイツが起きてるかって?

まあ話せば長くなるんだけど…

長くねェなうん。


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