僕の唄君の声
3
「…簡潔に言えば私は義父から虐待を受けてた。」
そう、簡単に言えばただ暴力を振るわれていただけだ。殴られ蹴られ踏まれ閉じ込められ首を締められ…。まあ例を挙げればキリがないのだけれど。
「たかが虐待って思うでしょ?」
「……度を越えてたんだろ」
「…そう、だね。普通がどの程度かは知らないけど確かにあれは異常だった…。」
小さい頃に両親が離婚した。
暫くママと二人暮しだったけど、ママは子育てが…、私を育てることが出来ないと判断して私をおばあちゃんに預けた。
『新しいパパよ、壱葉!』
私が中1のときにママが私の所に来た。
ママは私を放りっぱなしっていうわけじゃなかった。私に掛かる分のお金をおばあちゃんに渡しに来たり、仕事がない日は遊んだりもした。だからママが毎日頑張っていることも知ってた。
『初めまして、壱葉ちゃん?』
『は、初めまして!』
あんなに頑張っていたママが見つけた人、
いい人に決まってる、そう思った。
何よりママがとても嬉しそうな顔をしてた。だから間違いないと思って3人で住もうと言われたときはすぐに返事をした。
「暫くはね幸せだった。」
「……あぁ。」
「でも、落ちるのはすごく急だった。」
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