僕の唄君の声



「…簡潔に言えば私は義父から虐待を受けてた。」


そう、簡単に言えばただ暴力を振るわれていただけだ。殴られ蹴られ踏まれ閉じ込められ首を締められ…。まあ例を挙げればキリがないのだけれど。


「たかが虐待って思うでしょ?」

「……度を越えてたんだろ」

「…そう、だね。普通がどの程度かは知らないけど確かにあれは異常だった…。」




小さい頃に両親が離婚した。
暫くママと二人暮しだったけど、ママは子育てが…、私を育てることが出来ないと判断して私をおばあちゃんに預けた。


『新しいパパよ、壱葉!』


私が中1のときにママが私の所に来た。
ママは私を放りっぱなしっていうわけじゃなかった。私に掛かる分のお金をおばあちゃんに渡しに来たり、仕事がない日は遊んだりもした。だからママが毎日頑張っていることも知ってた。


『初めまして、壱葉ちゃん?』

『は、初めまして!』


あんなに頑張っていたママが見つけた人、
いい人に決まってる、そう思った。
何よりママがとても嬉しそうな顔をしてた。だから間違いないと思って3人で住もうと言われたときはすぐに返事をした。




「暫くはね幸せだった。」

「……あぁ。」

「でも、落ちるのはすごく急だった。」




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