僕の唄君の声
ドカッ
『…ガっ!』
バンッ
『うっ…!』
ボクッ
『おぇ゙っ!』
『うぜェなー、ったく』
ママが居ない時間は必ず背中を蹴られ壁に叩き付けられお腹を殴られ続けた。その間お父さんはうぜェとかめんどくせェとかしか言わなかった。
「多分、家族が重かったのかも」
「…なんでそう思うんだ?」
「…若かったから。ママとの結婚が最初の結婚だった。」
『なんで俺がなんで俺がなんで俺がァ!』
バァアン!
『…ひっ』
あの時、本当に避けておいて良かったと今でも思う。激しい音がしたすぐ真横の壁を見れば綺麗に壁には穴が開いていた。
『や、だやだやだやだ』
それを見た瞬間に今まで我慢していたものが全て体中から吹き出してきた。
恐怖、不安、痛み、それらから来る震え。
『ごめ、なさ……!やだ、やだやだ痛い痛い痛い痛い痛いやだやだやだや、だ……』
歯はガチガチ音を立てはじめ涙はボロボロ出てくる。それを止める方法なんてどうでも良かった。この地獄から逃げる方法が知りたかった。
でも神様は味方なんかしてくれなかった。
母親が仕事場に泊まると言ったのだ。
夜勤の子が休みだからとか何とかで泊まりがけとなった。
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