僕の唄君の声


「…ふっ、く」


いつから我慢していたんだろう。
中2の頃から始まり、中3の2学期頃にされた性的暴行。それを機に家を出て、おばあちゃんの家に戻った。


高校に入るときにおばあちゃんの家で暮らす理由をママに話した。ごめんねと何回も謝られた。助けられなくてごめんねと、何度も何度も。抱きしめられて頭を撫でられて…。
でも、その行為にすらビクビクしてた。



肌が触れるのが怖かった。


―――………昔も今も。



なのに、玲に抱きしめられてるこの体には恐怖など微塵もなかった。




「…ひっく、ごめ、ん」

「ごめんじゃなくてありがとうだろ、こういう時は?」

「…あ、りがと?」

「あぁ。」

「そうだね。ありがとう、本当に。」

「どーいたしまして。」



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