僕の唄君の声
(玲視線)


「壱葉!ごめん、立ち聞きした」

「…うそ!」

「マジ!今まで気付かなくてごめんね…」

「…え。」

「壱葉が助けを求めてたの分かってたのに何をしたらいいのか分からなかった。…そうだよね、忘れられるわけないよね…。」

「…うぅ〜、華己゙〜!」

「うぅ〜、壱葉゙〜!」




「仲良きことは美しきかな、ってやつか〜」

抱き合って泣き出した女二人組を見ていれば聞き慣れた声とともに肩がズシリと重くなった。振り向けば、俺の肩に腕を乗っけた奏輔がいた。


「…奏輔も聞いてたのか?」

「…ついでに見てもいたぜ〜」

「口止めしなくても平気だな。」

「玲ちゃ〜ん、俺のことは玲ちゃんが1番よく知ってるだろォ?」

「……ハハッ、だよな」

「…おうっ」


「「仲良きことは美しきかなぁ〜」」


「「……な、!」」


二人分の声が聞こえた思い振り返れば、ニヤニヤしながら女二人組がこっちを見ていた。




「やられた…」

「だなァ〜…」

「男の友情も美しいのねえ」

「はははっ」




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