僕の唄君の声
突然、保健室に入ってきた華己に抱きしめられびっくりしたものの、華己の今までの話を聞いて止まったはずの涙がボロボロとまた流れた。
「え、じゃあ忘れたっていうのは」
「うん、嘘ついた」
「、なんで」
「心配かけたくなかったから。ごめん」
「……はあ、」
「華己……」
「もっと私のこと頼ってよ!ったく…。忘れたって言うわりに男の人と触れるたびにビクビクしてるから余計心配してたんだから」
心配させたくなかったのと同時に、親友だから話すべきなのかと悩んでた。心配してくれてるからこそ話すべきなのかと。
違った――…。親友だから本音を言うんじゃない。信じられる人だからこそ私の気持ちを打ち明けて、受け止めてもらわないといけないんだ。そうすることで、私が背中に背負っている過去の傷が癒えるんだ。そうすることで、その人と信頼しあえる。
「今までありがとう、華己。」
「…いーえ」
2人で笑い合い、玲の方へ視線を向ければ、玲達も笑い合っていた。
「「仲良きことは美しきかなぁ〜」」
「「…な、!」」
ありがとう、その言葉で私は笑顔になれる。
新しいスタートにやっと立てる。
「玲、!」
「…ん?」
「ありがとう…っ!」
「おう」
振り向いた君は、私の頭をくしゃりと撫でた。
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