僕の唄君の声
2
「え、じゃあ手首をずっと握ってたから壱葉ちゃん、玲のこと睨んでたの?」
「まあ、うん。そうだね」
保健室から4人で廊下を歩いていると、前を歩いている奏輔と華己が急に会話をし始めた。ぶっちゃけそんなに睨んだ覚えはない。
ちょっと離してくれないかなーって思ってたくらいだし、うん。
「…なァ。」
「…はい?」
「あれ、何?」
隣から声が聞こえたので隣を少し見上げれば、前を指差してあれは何かと聞いてきた。何って華己と奏輔じゃんとか思いながらも、少し前をキョロキョロしてみる。
「…やっぱりくっついた。」
「……お前も思った?」
「うん。」
玲と2人ではははと渇いた笑いをかましていたら、急に華己に話し掛けられた。
「そうだ。壱葉〜」
「な、何?」
「なんで吃るのよ」
いつの間にか2人がくっついててびっくりしたからですなんて言えるはずもなく、急に話し掛けられてびっくりしたと苦し紛れに言ってみる。
「今日から奏輔くんと帰ることになった!」
「あ、了解。」
「…なんでびっくりしないの」
「手、繋いでるから」
そう、華己と奏輔は手を繋いでいた。玲はそれを指差したのだ。
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