僕の唄君の声
(玲視線)


「おい。」


俺の呼び掛けにピクリとも反応せず、キョロキョロとしだしたコイツにもう一度、声を掛ければ自分のことかと聞いてきた。それに頷けば名前を呼べと言われた。


「…壱葉」


「うん、それ。よろしくね〜」



そう言ってフワリと笑った壱葉(…慣れない)の表情はそこらの女と比べものにならないくらい惹かれた。綺麗とか可愛いとかじゃなくて、なんか…、惹かれた。



目のやり所に困り、視線を泳がせればポケットに入れた携帯が震えた。受信BOXを見れば奏輔からのメールで、『顔真っ赤w』とかいうふざけた内容だった。


ジトリと視線を奏輔に移せば、ニヤニヤしながらこちらを見ていた。



「…うぜェ」


「玲くん、怖ーい!」


「てめェ「どしたの?」…っ!」


奏輔に暴言を吐こうとした矢先、セーターをクイッと引かれ後ろを向けば首を傾げた壱葉が居た。



「っ!…え、あ、嫌。別に」


「そ。じゃ、本音暴露しまーす」


「…は?」


「他の生徒の目を気にする理由!」


「あ、あぁ。あれな。」


「うん、あれ!」



俺の話した言葉に合わせてコロコロと笑う壱葉に目を奪われながらも先を促す。そうすれば、壱葉は気にすることなく話し始めた。




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