僕の唄君の声
(奏輔視線)


「大丈夫か…?」


俺が壱葉ちゃんの肩に腕を回して暫くしたとき、玲が突然退かせと言った。最初は、嫉妬かなーなんて可愛いこと想像させてたけど、壱葉ちゃんの顔を覗き込みながら大丈夫かと問う玲を見ればそんな可愛いものなどではないのは一目瞭然だ。


「華己ちゃーん。」


「ん?」


「俺、壱葉ちゃんに何かしちゃったっぽい?」


「んー…、うん。」


「…やっぱり。震えてるしね、今。」



華己ちゃんに話し掛けながらも、壱葉ちゃんを見ながら心配した。



「やっぱ男への恐怖心は簡単には治らねェよなー…」


「…そう、でもないかも」


「…え?」


「あれ。」



そう言って華己ちゃんが指差した方向を見れば、今まで目にしたことのない光景があった。



「絶対、2人とも自分の表情が今どんなか分かってないよ。」


「だろーなー…」


「これこそ美男美女っていうんだよね、きっと。」


「だなー…。てゆーか、あれで自覚ナシなんだろー?」


「「…はあ」」




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