僕の唄君の声
1
奏輔が玲の名前を呼び、2人が立ち去る寸前。
どうしたのかと慌てて玲に問えば、玲は部活だと言った。その顔はやばいって感じもしたけど、なんだかキラキラしていた。
ふとそんなことを思い出していれば、華己が隣にやってきて私に話し掛けた。
「壱葉、大丈夫?」
「へ、何が…?」
「さっき、肩触られたとき震えてたでしょ?だから、大丈夫かなって」
そう言いながら苦笑いをした華己に申し訳なくなり、慌てて大丈夫だよと返事をした。
「無理、してない?」
「うん、ホントに大丈夫。」
「そっか。…そういえばさ、」
「うん?」
「なんで玲くんは大丈夫なの?」
………ん?
「ドウユウコト?」
「なんで片言?…頭撫でてもらってたとき、壱葉震えてなかったじゃない。」
「マージでー!」
「マージよー。」
そう言われてしまえば、想い出さずにはいられないのが人間の本能で。勝手に私の脳みそはついさっきまでの出来事をリピート再生してくれちゃったりした。
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