僕の唄君の声


そこには、先程とは違った意味での衝撃的なシーンがあった。

「…え、」


キスシーンが繰り広げられていたのだ。


その女の子は、私がアフレコしたような内気なウジウジしたタイプではなかったらしい。なんかもう、アフレコなんかして遊んで申し訳ない感じがするよ。あはは(笑)




ズキン


うん、人のキスシーンって見てていい気がしないや。


ズキン


ほら、心が叫びまくってるよ。


ズキン


ああいうのは見るもんじゃないよって。


ズキン


覗いてるのが見つかれば、
平凡な日々は無くなるよって。





ズキン、ズキン、ズキン







――…自分が傷付くだけだよ、って。










パタパタ、パタ


「ふ、っく…」


なんで、なんでなんでなんで。

どうして涙が出るの、


「れ、…い」


どうして名前を呼ぶの、


「…ふ、ぇ」


どうして目を隠すの、


「……、」


どうして涙が止まったの、





「平凡な日々を、捨てるから」





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