僕の唄君の声
(玲視点)
「他に何か用は?」
「えぇ、あるわよ?」
クスリ、と笑った女を不思議に思いながら、この女の為に口を開くことに怠さを覚え、無表情で他に用はあるのか問えば、肯定の返事。
「東階段、ここからよく見えるのね。」
「…は?」
意味有りげな笑みでこちらに笑い掛ける女の言いたい事がイマイチ掴めずに、一応東階段に目を向ければ、そこには…
「な…っ」
壱葉が居た。
しかも、爆笑してた。
「……何やってんだ、アイツは。」
張り詰めた空気の中、少し遠くに居る壱葉がやけに愛おしく感じた。
たった一瞬、そう思った。
「玲くんが、わらっ、て…る?」
ポツリと呟かれた声に、振り返ればそこには目を見開いた女が居た。
しかし、それもつかの間。
女の目は鋭い目つきに戻っていた。
チラ、と東階段を見れば、壱葉はもうそこには居なかった。自分でも気付かない程に、ほんの少しだけ寂しくなりながら、もう一度女を見る。
そして、俺は――――……
後悔した。
_
「他に何か用は?」
「えぇ、あるわよ?」
クスリ、と笑った女を不思議に思いながら、この女の為に口を開くことに怠さを覚え、無表情で他に用はあるのか問えば、肯定の返事。
「東階段、ここからよく見えるのね。」
「…は?」
意味有りげな笑みでこちらに笑い掛ける女の言いたい事がイマイチ掴めずに、一応東階段に目を向ければ、そこには…
「な…っ」
壱葉が居た。
しかも、爆笑してた。
「……何やってんだ、アイツは。」
張り詰めた空気の中、少し遠くに居る壱葉がやけに愛おしく感じた。
たった一瞬、そう思った。
「玲くんが、わらっ、て…る?」
ポツリと呟かれた声に、振り返ればそこには目を見開いた女が居た。
しかし、それもつかの間。
女の目は鋭い目つきに戻っていた。
チラ、と東階段を見れば、壱葉はもうそこには居なかった。自分でも気付かない程に、ほんの少しだけ寂しくなりながら、もう一度女を見る。
そして、俺は――――……
後悔した。
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