僕の唄君の声
(奏輔視線)
「っ悪ィ!遅れた」
「んあ?ああ、大丈夫大丈夫。どした?」
「、は?‥何が。」
「今日は秒殺出来ないほどのいい女だったのか聞いてんの〜。‥‥小川ー!パス遅ェ!」
「‥いや、別に。」
上の空。
今の玲にはぴったりの言葉だった。ゲームをぼんやりと見つめ、ただ突っ立っていた。いつもならなんかもう怒声みたいなのがバシバシ飛ぶはずなのに。
なんか、おかしい。
帰した方が、部の雰囲気的にもいいだろう。まあ、なにより玲がちょいとばかり不安定過ぎる。
「玲、帰れ。」
「‥は、意味分かんねェ。」
「女に何言われたか知らないけどさ、上の空よ?今の玲ちゃん。今日は多分、ここにいても意味無い。だから、さようなら。」
「っ、分かった。」
「うんうん、分かればいい!」
「ははっ、敵わねェなー‥」
「当たり前だろ!じゃあ、またな」
「あぁ、明日な」
そう言いながら部室に向かう玲を横目に、新たに始まっているゲームに集中した。
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