僕の唄君の声


「ダメ!一緒に行くの。」

「やだよ。」

「ダメ。」

「やだ。」

「ダメ。」

「やだ。」

2人でさっきから、この一点張り。すると、隣の男子生徒が話し掛けてきた。


「ね、ねえ。先生が‥」


「「うるさい!」」

可哀相だけど、今の私達には邪魔なだけだけだった。

「あなたたちが、ね?」

「「げ、先生…」」

「廊下に立ってなさい。」

「そんな昔くさいこと…!」

「皆の前で正座がいいの?」

「立たせていただきます!」

「はあ…」


まあ、いっか。数学嫌いだし。


「部活見に行こうよ!」


廊下に出るなり、急に耳元で大きな声を出されてキーン、と耳鳴りがした。掌で耳を抑えながら華己に視線をやる。



「あのね、放課後は詩を書く時間なの。」

「でも最近、はかどってないみたいじゃない。」


華己はふふん、と勝ち誇ったような笑みを浮かべながら私を見た。

「………‥はあ、分かった。行くよ、行ってやろうじゃない!」



こうなったら行ってやろうじゃない。




「でもタダでは行かないよ。」

「やっぱり…」


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