僕の唄君の声

（玲視線）


「‥‥寝てる。」



近付いてみれば、かなりの熟睡モード。
完全にこっちに気付いてない。


顔を覗き込めば、頬に涙の跡があった。


「‥‥、」


熟睡してるのをいいことに、恐る恐る手を伸ばし、頬に触れてみる。涙の跡をツー‥と、指先でなぞれば、ピクッと壱葉が反応した。


「‥ん、」


ピクリと動いた壱葉に驚き、手を引っ込める。




バサ、ッ

その拍子に何かが落ちたようだ。



「、ノート？」

表紙には何も書いていないから、授業のノートでは無いだろう。パラパラとめくってみれば、あまり丸みを帯びない文字がたくさん書かれていた。


気になるものを少し読みながら、最後のページへと向かう。



最後のページ。
そこには生まれてから、嫌と言うほど見てきた自分の名前が書いてあった。



気になったそのページの文を読んだ。




「〜〜〜〜〜っ、！」


柄にもなく、顔が赤くなったのがわかった。



勘違いじゃなければ、さっきの涙の意味も分かった気がする、多分。



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