僕の唄君の声


そうすれば玲は、またか、みたいな顔してYシャツのボタンを開けはじめる。


「‥ん、」


そして、私の後頭部を手の平で包んで引き寄せる。そしたらそれが始まりの合図。


ちぅ、
「‥はぁ、ついた」

鬱血したために出来ただけの赤い花。
それだけで満たされる。

「何、今日はそれだけ?」

「え、何、いいわけ?」

「どーぞ。壱葉の歯型、大好き。」

「あは、やった」


このあとを考慮しての行動だったが、許しを得たので素直に喜ぶ。


ガブ、リ
「‥は、‥っ痛い?」

「は、さいこ」

ちぅ、ガリ、ッ
「い゙‥っ!な、にすん、の!」

「んー、俺もやりてェな〜って」

「痛い、」

「はいはい、悪かったですよ」


と、まあこんな感じだ。


いつだったか、華己たちにこれを目撃されて、「なんか狂気的だね、」と言われた。

そんなことを思い出し、Yシャツを直す玲に聞いてみる。


「私のこれってヘン?」

「いや、だったら俺もヘンってことになるだろ。まあ、それはそれで別にいいけど。」

「ふーん、あそ。」

「まあ、独占欲はやべェ、」

「そう?」

「多分。」

「だってお互いがお互いの所有物なんだからしょうがないでしょ。」

「確かに。‥よし、帰るか」

「‥ん。」



手も繋げはしないが、同じ位置につくキスマークと歯型は誰にも離せないから、良しとしよう。




「あ、たい焼き買って。」

「自分で買え。」

「金欠。」

「あっそ。」



かなりノーマルだと思う。


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