恋色想い



「…ガキ。カバン振り回すなよバカ。」

フンッと鼻で笑った後、颯の手が私の頭に乗った。


「…てかさ、どーせお前も初デートだろ?」




颯の顔に勝ったって書いてある。
意地悪そうに笑う颯。




「…そーだけどさ…。」

頬を膨らまして私はそっぽを向いてみた。




…そしたら、
頭に乗った手が、優しく頭を撫でる。


「ごめんって。冗談だよ。」

目を細めて笑う颯は、きっと世界で一番カッコいいと私は思う。



…ヤバイ。
絶対今、顔赤い…。



「ふんだ!」

いじけたふりをして、颯から顔をそむけた。




「碧衣ー、機嫌なおせよー。」


笑いを含みながら颯は私の機嫌をとる。





私、今…
世界で一番幸せだ…。









< 116 / 230 >

この作品をシェア

pagetop