恋色想い
「ごめん颯!待ったよね…」
少女マンガみたいなかわいい待ち合わせじゃない。
髪はグチャグチャ、息は切れて、おまけに汗だくだ。
唯一の救いが、メイクをほとんどしなかったこと。
もしメイクしてたら、きっと今ごろオバケと化してるに違いない。
「…颯?」
颯は黙ったまんま、なんにも言わない。
…そりゃ、怒るよね。
ごめんなさい、と謝ろうとした時…
「やべぇ!もう我慢できない!」
そう言って、颯は珍しく声を上げて笑った。