恋色想い
「…颯?」
ポカンと颯を見上げる私。
どういうこと?
「あー腹いてぇ。久々だよ、こんなに笑ったの。」
ひとしきり笑った後、颯は目のはしの涙を拭きながらお腹を押さえた。
「なんで笑うの…」
怒らなかったのはよかったけど、笑われると反対にへこむ…
「だってさ、あまりにも碧衣らしい登場の仕方だからさ。」
クックッとまだ笑いながら、颯は言う。
「私らしいって…颯の中の私はどんななの!?」
せっかくのデートなのに…
もっと早起きすればよかった。
だって爆笑されたんだよ?
うぅ…
へこんでいると、頭に手がのる。
その手は、ぽんぽんと私の頭をたたいた。
「かわいいよ。」
上から、優しい甘い声が降ってくる。
「颯…」
颯の顔がよく見えない。