恋色想い


「…早く中に入ろうぜ。」


コホンと咳払いしながら、颯はそそくさと館内に入っていく。

私もあわてて後についていった。






「学生二枚。」

ガラス越しの店員さんから、チケットを受け取ると、颯は私に一枚渡した。



「お金、払うよ。」

私が財布を出すと、颯がそれを阻止する。


「今日は初デート記念だから俺のおごりな。」

ニカッって笑って颯は言う。




「でも…」


「そのかわり、付き合って一周年は、なんかおごれよ!」


そう言って颯はそっぽを向いた。





一周年…
颯も、ずっと付き合っていくことを考えてくれてるのかな。


そう思うと、自然と頬が緩んできた。






一周年は、何をプレゼントしようかな───…









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