恋色想い
「颯…」
私の方を見てほしくて、私は必死に颯の名前を呼ぶ。
颯は哀しい目で私を見た。
そして、哀しい顔をして笑ったんだ…。
「碧衣…。」
そっと私の顔を撫でる颯。
…それがなんだか別れの合図みたいに思えて、私はぎゅっと颯の手を掴んだ。
「隣の子は、彼女さん?」
長いまつげがはえそろった大きな目をそっと閉じてから、釉梨さんは微笑みながら首をかしげる。
「…あぁ。」
少しの間の後、ゆっくりと颯が答えた。
「そう…。そうなの…。」
悲しそうに視線を落として、釉梨さんは呟く。