恋色想い
涙が勝手に流れていく。
釉梨さんみたいな綺麗な涙じゃない。
ワガママで、自分勝手な、そんな涙。
「けほっけほっ…っ颯だけは…お願い…」
息が詰まってうまく呼吸ができない。
せきと細い息だけが、私ののどを通り過ぎていく。
「碧衣落ち着け。大丈夫だから。俺はここにいるから。」
颯が優しい手つきで私の背中を撫でてくれる。
「ごめん釉梨…今は話せない。またな。」
釉梨さんにそれだけ言うと、颯は私を抱えてベンチまで運んでくれる。
こんなにも優しい人を、どうして私は困らせてしまうんだろう。
頭では分かってる。
自分勝手だって。
ただの幼いワガママだって。
だけど、颯のことになると、過剰に反応してしまう…