恋色想い





…違うと思う。

きっと…
颯の心は、釉梨さんのものだよ。



だって…
いつものようにしていても、颯はどこか哀しそうな、複雑な顔をしていたから。





きっと…
私がいるから。
颯と釉梨さんの間に私がいるから、二人はもとには戻れないんだ…。






「釉梨さんは、まだ…颯が好きですか?」




「…颯の邪魔になるなら、この気持ちはないことにするわ。」



そう言って笑った釉梨さんは大人びていて。






小さな子供みたいにだだっ子な私とは、違う世界の人に思えた──…











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