恋色想い
ドン…
パーン…
歓声と花火の音の間を縫って、私は走った。
下駄で、足が痛い。
だけど、それよりも…
胸が痛くて…。
とどまることを忘れた涙はぽろぽろと零れていく。
「なぐさめてあげるよ。」
そんな、冷やかしの声も聞こえた気がした。
私は、ひたすら走った。
自分の心が揺るがないうちに、ここを立ち去りたい。
無我夢中で走る。
唇にそっと残る感触と熱。
この夏を、
私は一生忘れない──…
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