恋色想い
「碧…」
学校に行くと、春菜が目を見開きながら私を見た。
「はは…あんまり腫れ、ひかなくてさ。」
私は笑ってごまかす。
頑張って冷やしたけど、腫れは完全にはひかなかった。
「あ、碧衣。おはよ…」
愛美は、私の顔を見たとたんに顔をしかめた。
「いやー、見苦しい顔見せてごめんね。」
あんまり重苦しい雰囲気だったから、私はおどけてみせる。
「…るさない…。」
「…え?」
小さな、愛美の呟きが聞こえる。
「許さない!!」
そう叫んだかと思うと、愛美の瞳からは、涙が零れた。
「愛美…?」
「碧衣を泣かせた人、許さない!碧衣がこんなになるまで苦しんでたのに…なんにもできなかった自分も許せない…。」
語尾は涙声になって、弱々しく聞こえた。
「愛美…」
「ごめんね碧衣…」
泣きながらそう言う愛美に、おもわず私は愛美の細い肩をギュッてした。
「愛美はなんにも悪くないよ…?ごめんね、心配かけて…。ありがとね。」
ぽんぽんと愛美の背中を叩くと、愛美はしゃくり上げながら笑った。
「私ら、なにやってんだ。ドラマのあっつい友情劇みたいじゃん!」
私たちは、顔を見合せながら笑った。