恋色想い
「私たち、その…颯君?がいたから、こんなに仲良くなれたんだよね…。」
ずっと黙っていた春菜が、ぼそりと呟いた。
「えと…ごめん…。」
思わず謝ると、春菜はハッと顔を上げて違うの、そう言った。
「そうじゃなくて…碧衣を責めてるんじゃなくてさ、颯君がいなければ、私たちはこんなに仲良くなることなかったなぁって。だから…、碧衣は苦しい思いしてるかもだけど、私は…、颯君と碧衣が出会ってくれてよかったなって思うの。」
春菜はそう言って微笑んだ。
「…ホントだね。」
颯がいたから…
こうして今、二人に颯の話をできるワケで。
「颯は…、私にいろんなものくれたの。お兄ちゃんと仲良くできることもそうだし…、今こうやって二人にホントのこと話せるのも颯のおかげで…。」
言葉にするたびに、また涙が零れてきて。
まだ颯が好きで。
「じゃあ…颯君は、自分は碧衣のこと離しちゃったけど、碧衣に宝物残していってくれたんじゃん?」
愛美が私の背中を擦りながらそう言った。
宝物…。
颯がくれたものは、ぜんぶ宝物だね。
大事な大事な、宝物。
ありがとう、颯──…