恋色想い
「…う!颯!」
「えっ…あぁ、ワリィ。」
ぐいっと俺の上着の袖を引っ張る釉梨。
「で、何だって?」
「だから、クリスマス、何欲しいのかって。」
釉梨は頬を膨らませながら俺に聞いた。
街は色とりどりのイルミネーションで華やいでいる。
人々はマフラーにコート、手袋。
空からは、ふわふわと雪が舞い落ちる季節になった。
あの日…
夏祭りの日、碧衣は俺に別れを告げた。
…笑顔で。
俺は…
走り去る碧衣の背中を呆然と見つめるしかできなかった。
そして今…
俺の隣には、釉梨がいる。