恋色想い
「颯へのプレゼントを買いに来たんだよ!?よそ見しないで…」
「…あぁ、ごめん。」
俺がそう返事すると、釉梨は一瞬悲しそうな顔をした。
「颯は…優しすぎるよ…。」
釉梨が、俺を見つめながら呟く。
「え?」
「…何でもない!あ、ねぇ、あのお店行こう!」
釉梨はそう言うと、人混みの中を駈けていった。
俺は…
優しくなんかない。
だって…
碧衣を傷つけてしまったから。
本当に優しい男なら、あそこで碧衣を追いかけたはずだ。
…でも、俺は追いかけなかった。
どこかで、碧衣に甘えてしまってたんだ。
碧衣と別れることで、釉梨に償いができる。
そんな、最低な考えがその時俺の頭をよぎった。
俺は…
どこまでも最低な人間だ。