恋色想い





黙って釉梨についていった結果、見晴らしのいい丘の公園に着いた。



「…綺麗だな。」

俺は、そう呟いた。


キラキラ光るイルミネーションが、すごく綺麗だ。





「…でしょ。」

釉梨はベンチに座って、手をこすりあわせた。



「寒いか?大丈夫?」

そう言って釉梨の隣に座ると、釉梨は目を細めて泣き笑いの表情をした。





「私ね…颯のそういうトコ、大好きだった。」


ポツリ、釉梨が呟くようにゆっくりと言葉を紡いでいく。



「私…颯が好きで、大好きで…。だから、これだけ時間がかかっちゃった…。ごめんね…」



「…釉梨?」




「颯…お別れしよう…?」



「…え?」




「私…気づいてた。昔から。颯の私への優しさは、『愛情』じゃなくて、『同情』だよ…。」





頭が真っ白になる。




「俺は釉梨が…」


「うん。分かってる。颯は一生懸命私を愛そうとしてくれた。」




「じゃあなんで…」






哀しそうに笑って首を振る釉梨。



「颯、『守らなきゃ』って思うのと、『守りたい』って思うのは、違うんだよ…。」



釉梨の温かい手が、俺の手の上にそっと乗る。






「颯が…『守りたい』って思う人は、私じゃないでしょう?」






碧衣の無理して笑う時の顔が頭をよぎる。






「…今までありがとう、颯。私、颯といられて、ホントに幸せだった。だけど…颯は違うから…。今まで、縛り付けて、本当にごめんなさい…。」




「釉梨…」





「だから…キスして、って言った時もね、後から罪悪感でいっぱいだったの。颯は疑わずに私にキスしてくれる。だけど…それはただ颯を縛り付けてるだけだった。」




そっと、釉梨は目を閉じた。











< 193 / 230 >

この作品をシェア

pagetop