恋色想い
黙って釉梨についていった結果、見晴らしのいい丘の公園に着いた。
「…綺麗だな。」
俺は、そう呟いた。
キラキラ光るイルミネーションが、すごく綺麗だ。
「…でしょ。」
釉梨はベンチに座って、手をこすりあわせた。
「寒いか?大丈夫?」
そう言って釉梨の隣に座ると、釉梨は目を細めて泣き笑いの表情をした。
「私ね…颯のそういうトコ、大好きだった。」
ポツリ、釉梨が呟くようにゆっくりと言葉を紡いでいく。
「私…颯が好きで、大好きで…。だから、これだけ時間がかかっちゃった…。ごめんね…」
「…釉梨?」
「颯…お別れしよう…?」
「…え?」
「私…気づいてた。昔から。颯の私への優しさは、『愛情』じゃなくて、『同情』だよ…。」
頭が真っ白になる。
「俺は釉梨が…」
「うん。分かってる。颯は一生懸命私を愛そうとしてくれた。」
「じゃあなんで…」
哀しそうに笑って首を振る釉梨。
「颯、『守らなきゃ』って思うのと、『守りたい』って思うのは、違うんだよ…。」
釉梨の温かい手が、俺の手の上にそっと乗る。
「颯が…『守りたい』って思う人は、私じゃないでしょう?」
碧衣の無理して笑う時の顔が頭をよぎる。
「…今までありがとう、颯。私、颯といられて、ホントに幸せだった。だけど…颯は違うから…。今まで、縛り付けて、本当にごめんなさい…。」
「釉梨…」
「だから…キスして、って言った時もね、後から罪悪感でいっぱいだったの。颯は疑わずに私にキスしてくれる。だけど…それはただ颯を縛り付けてるだけだった。」
そっと、釉梨は目を閉じた。