恋色想い
「…ごめんな、釉梨。」
次は、真っすぐに。
ここまで俺を愛してくれた人に、ちゃんとまっすぐ伝えたい。
「俺を…、愛してくれてありがとう。だけど…これ以上一緒にいられない。」
「うん…お礼を言うのは私だから。今までありがとう。」
病室での別れから止まっていた時間がゆっくりと流れだす。
今度はお互いに理解しての別れ。
これで、二人とも前に進める。
「じゃあね、颯。」
「あぁ。じゃあな。」
ありがとう、釉梨。
去っていく細い釉梨の背中。
ずっと、この細くてか弱い背中を守っていかなければいけない、そう思っていた。
だけど、釉梨はぜんぶ分かっていたんだ…。
初めて、釉梨の背中をたくましいと思った──…