恋色想い



「碧衣、おはよ。」



朝、電車。
この時間は、いつも胸がくすぐったくなる。





少しかすれた、眠そうな声が私の名前を呼ぶたび、ドキリと心臓が音をたてる。





「お、おはよ。」



どもりながらも、返事をすると、ぽんっと頭を叩かれた。





「毎朝どもるんじゃねーよ。」


意地悪く笑う颯。
…かっこいいのがムカつく。






「ねぇ…あの子、他校生だよね。なんで一緒にいんの?」


「やっぱ…付き合ってんじゃないの?」






ヒソヒソと颯と同じ制服を着た女子高生が噂する。

…視線が痛いよぅ。







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