恋色想い
スタスタ歩いていると、いきなり肩を掴まれる。
あわてて後ろを振り向くと、そこには…
颯がいた。
「あれ…颯?」
「お前、名前呼んでも反応ねぇから…。」
「…ごめん。」
お兄ちゃんのことが私の頭を占拠して、名前を呼ばれてるなんて全然気付かなかった…。
「…なんかあった?」
そっと、颯は私に聞く。
「…大丈夫だよ。」
無理やり笑顔をつくって、私は答える。
「…大丈夫じゃないの、丸分かりなんだけど。もっと分かりにくい嘘つけよ。」
少し怒った顔で、私を見る颯。
「…ごめん。」
私が謝ると、颯は悲しそうな顔に変わった。