恋色想い
「颯…?」
名前を呼ぶと、颯は眉をひそめて頭をぐしゃぐしゃと掻いた。
「ごめん。こーいうこと言いたいんじゃねぇ。ちょっと話せる?」
悔しそうに顔を歪めながら、颯は私に言った。
「うん…。」
そして、私たちは隅にあるベンチに座った。
「…ごめん、キツい言い方して。碧衣の気持ち分かってやれない自分に腹立ってさ…。俺の前でまで無理すんなよ。」
少し寂しそうに颯は笑う。
あぁ…
こんなに優しい人を、私はどうして傷つけてしまったんだろう。
本音を言っても、この人は全部受けとめてくれるのに。
「颯…。」
じわりと涙が溢れてくる。
颯の優しさがあったかい。
私、颯の前では泣いてばかりだ…