はつこい
お婆ちゃん、元気にしてるかな…
いや、ぎっくり腰なんだから元気って訳じゃないだろうけど…
外の景色は相変わらず森と田んぼばかりで、段々と飽きていた。
電車の中でまたまた爆睡してたもんだから眠くもならない…
改めて車内を見回しても3~4人の乗客がいるだけだ…
あたしは余りの暇さに、人間観察をしはじめた
一番前の運転手の真後ろの席に座っているのは、麦わら帽子を被ったおじいちゃんで、
しきりに手拭いで首まわりの汗を拭いている
こんなに涼しいのに…
あたし以上に暑がりだなあれは…
その斜め後ろの席にはお母さんと小さな女の子の親子連れ…
女の子は一生懸命お母さんに、何か話をしており、お母さんも優しく笑顔で答えているのが微笑ましい。
そしてあたしの二座席前には若い男の人が座っている。その人は窓際に寄りかかり、眠ってるみたいだった…
後頭部だけしか見えなかったが、薄茶色の綺麗な髪をしていた。
こんな田舎に珍しいな…
都会からの帰省中かな?
…などと思っていると、急に男の人が姿勢を変え始めた
…ん?
どうしたんだろ…
眠っていると思っていた男の人は、バスに酔ってしまったのか、前の座席の背もたれに両手で掴まり、うなだれてしまった…