はつこい
「無理しないほうがいいですよ…」
彼は、もう 抵抗はしなかった。
ちょうど神社の前でバスを降りたので、石段の上に横になってもらった
ザワザワ
ザワザワ
木々に囲まれた神社は昼間なのに薄暗く、かといって不気味な感じはしない
時折吹く風が心地よかった
「さてと…」
「ちょっと待っててくださいね」
神社の水道でハンドタオルを湿らせてきたあたしは、彼に近づいていった
仰向けになっているが、右手で顔を覆っているため、表情は見えない
冷たいハンドタオルを、ゆっくり彼の額に当てると、一瞬ピクッと動いたが またすぐに 大人しくなった…