タテマエなんて、イラナイ――。
それから同じ高校に入った私達は、高校でも仲良くしていた。
そんな時、私には好きな人がいた。
その人は玲音(レオ)くんっていって、すっごく優しくて、気配りが出来て、かっこよくて、スポーツもできて、勉強も出来る子。
私だけじゃなく、他の女の子からもモテていた。
だからって他の男の子から嫌われてる訳でもなく、クラスの皆は玲音くんが大好きだった。
私なんて全く手の届かない存在だ。
「あ、又玲音くんの事見てる」
奈実に指摘され、頬が熱くなった。
「ホントっ、分かりやすい」
「そんなんじゃないよっ」
「はいはい、分かりました。てか瑠奈、好きならなんで話しかけないの?」
「私には手の届かない存在だから……」
「そんな事言ってたら、誰かに取られちゃうわよ?」
「そんなこと言ったって、話し掛ける勇気なんてないし……」
「もっと勇気出しなさいって!」
「うん……」
私は奈実に背を押されるように、体育館へ向かった。
今日は体育の授業なのだ。
正直体育は苦手だ。
準備運動をすると、体育の先生が“今日はドッチするぞっ”と持ちかけた。