天使降臨 (『小説・堕天使無頼』改題)
連休がとれた俺たちは、晴れた暖かな日に鎌倉を散策しに出かけた。


サキは厚着だったが汗ひとつかかず岩だらけの坂を、跳ぶように登った。


ヒイヒイ言いながら俺が後をついていく。


小高い丘の公園で、コーヒーを飲みながら会社からくすねたクッキーをサクサクかじった。


車で帰る必要のない夜、まだ冷える室内でやかんで燗をつけてもらい、ふたりで遅くまで呑んだ。


朝の光が差し込む頃、コタツで寝ていたサキをそうっと。

抱きしめた。



彼女が震えて居たからだ。
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