天使降臨
(『小説・堕天使無頼』改題)
「寒いのか?」
少し腕に力を込める。
「痛い!」
「痛かったか。悪かったよ。布団、敷いてやる。ここじゃ冷える毛布でゆっくり寝ろ」
「ふたりがいい」
「え?」
「ふたりでこうして。くっついていると、あったかいから」
「そうだな」
今度は壊れもののようにサキを抱く。
サキは少食だ。
それも関係あるのか、サキの体は冷たかった。
俺は天使は嫌いだが、もし俺が翼ある天使なら。
大きな翼で、お前をいつでもあたためてやる。