天使降臨
(『小説・堕天使無頼』改題)
「逃げて下さい! 失敗を知った軍勢が来ます!」
「サキ、俺はお前に逢えて良かった。サキ、後悔しているか? 俺と出逢ったことを」
「いいえ。私は感謝しております」
「何故だ? お前を酷い目に合わせたのは『私』なのに?」
「恋することは……エゴでも、あなた様を悲しませ私も悲しくとも……しあわせでした。あなた様はそれを教えて下さったから」
「お前は罰を受けずとも良い」
「ケルビム様!」
「目を閉じるんだ。サキ。決して開いてはいけないよ」
サキは頷いた。
長いまつげが伏せられる。