姫密桜
私は槇に、折口さんの事
が好きなのかと問いかけ
ようとしたけれど

その言葉を飲み込んだ。

「うん、彼女が何?」

「ううん
 何でもないよ」

家に着いた私は、玄関の
ドアに手をかけた。

「サクラ」

「何?」

「あんまり急いで
 
 大人になるなよ」

私を見つめる

槇の真剣な瞳に

この胸が、ドキドキする
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