姫密桜
私は慌てて、ドアを閉め
バスタオルで体を包んだ

人間って案外、こんな時
冷静でいられる。

キャーという声よりも

ガーン・・・

槇に、着衣を身に
着けない無防備な

生まれたままの姿
を見られてしまった。

ここで初めて
私は、恥ずかしくて
堪らなくなる。

恥ずかしさで

体中が火照る。

この場所から早く
逃げ出したい。

慌てて、服を着ようと
した時

槇の声が聞こえた。

「サクラ、俺
 もう上がるから
 タオル
 取ってくれる?」

普段どおりの槇の声・・
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