姫密桜
「マキ・・・助けて」

壊れかけた彼女を、槇は
その腕に抱く。

私の心も

壊れていく・・・

二人を見つめる私の瞳は
悲しく染まる。

櫂ちゃんの手が

私に触れた。

見上げた櫂ちゃんの
眼差しは遠くを見つめる

握られた手の温もりから

彼が、私の想いの全てを
知っているような気がし
た。

「知っ、てるの?」

櫂ちゃんは

何も言わない。
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