姫密桜
少し、落ち着いた彼女に
槇は聞いた。

「さっきの人は彼氏?」

「違います」

彼女は、槇を見つめて
はっきりとした口調で
誤解を解く。

「ひとつ下の弟です」

「そう・・・」

「最近は、全く家に
 帰って来ないで
 友達の家を転々として
 行方不明だったんです
 
 やっと、探し出せたのに
 家には帰りたくないって
 また、何処かに
 行ってしまった・・・」

また、彼女の瞳から
涙が溢れた。
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