姫密桜
「オリグチさんって
 ・・・・・・
 下の名前は?」

「アズサ、
 オリグチ アズサ
 ちゃん」

脱いだ靴を揃え
リビングへ向かう私。

「折口 梓」

彼女の名前を言った後
の母は、何かに
囚われたように

その場に、立ち尽くす

「ママ・・・?」

呼びかける私の声

母には

届かない。

「ママ、オリグチさん
 
 知ってるの?」

『チグサ、愛してる』

母の名を呼ぶ

男性の声・・・
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