姫密桜
槇は、私の手を
握り締めて、ゆっくりと
リードして歩く。

「マキ、私なら一人でも
 大丈夫だよ
 
 それより、マキも早く
 自分の教室に
 戻った方がいいよ

 先生に怒られるよ」

槇は、繋いだ手を放さず
に、前だけを見つめる。

「ねえ、マキ
 聞いてる?」

槇は振り返り、私の頭に
優しく手を置いた。

「バカ
 しんどいくせに
 俺の心配なんかするな
 
 それに、お前を
 放ってはおけない」
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