姫密桜
屋上から、教室へ
戻る途中

誰もいない移動教室が
並ぶ廊下を歩く。

そこは、学校とは
思えない程に、静かな
時が流れている。

黙っていた那智が話す。

「言えよ
 
 もう、限界なんだろ?」

言えないよ・・・

言ったら、絶対
槇は、あの日のように
困った顔をする。

困った槇の顔を見るの
は耐えられない。

今の私、きっと

どうしようもなく

自信のない

情けない顔を

してるはず
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